日本学校教育相談学会

The Japanese Association of School Counseling and Guidance

2003.5.10


● 巻頭言 P.1
● 第15回総会・研究大会のご案内 P.2
● 各委員会より P.3
● 支部活動報告 青森県支部 P.5
● 特色ある支部活動 兵庫県支部 P.6
● 認定委員会の窓から/日本ピアサポート研究会発足 P.7
● 実践に役立つ用語シリーズ
  /事務局より/編集後記
P.8

巻頭言 学校カウンセリングの夢
日本学校教育相談学会
副会長  日野宜千 

 職員ラウンジの午後の日差しがかなり奥まで差し込むようになって来ていた。
Mさんは中学校の英語の教師。4時過ぎだというのに、もうすっかり人気の少なくなった学校からそろそろ帰ろうと思って、珈排を飲んでいるところだ。

 西暦20--年。平成も2桁になって久しい。中学校や高等学校では学級担任制度がなくなって数年になる。教師は管理部門と教育部門に分化し、Mさんのような教師は教育部門に属して、教科だけを教えることになっている。いわゆる生徒指導はまったくしない。 そうした部分は、スクールカウンセラーを中心とする管理部門の仕事だ。

 こうした制度への急激な変化は人手不足と子どもの数の激減の結果だ。一般の教師は教科の指導にだけ専念できるようになり,一方子どもの心理や行動を学んでカウンセリングやガイダンスを中心に活動するカウンセラーが育成されてきた。

 Mさんが珈排を半分ほど飲んだところにKさんが入って来た。Kさんは、大学院の心理課程を2年前に修了しスクールカウンセラーとしてこの中学校に勤めている。Mさんのクラスの生徒を何人か見てもらっているので顔なじみだ。
 カウンセリングルームは、事務室と複数の相談室がある。明るくて学校の中でいちばん居心地がいいところのように思える。スクールナースのいる保健ルームと違って薬臭くないところがいい。スクールカウンセラーは4人。チーフのDさんは教頭格だ。後の3人は皆二十代と三十代の女性で、てきぱきと仕事をこなしている。

 進路や学習を中心にした資料を作るのが主な仕事のようだ。コンピュータの記憶装置には小学校からの資料など詳細な生徒一人ひとりのデーターが整理されているという。

 もちろん生徒の相談が中心だ。Mさんも学期の始めに管理部門から届く、生徒一人ひとりの資料にはその使いやすさも含めて感心させられている。生徒達も、教科の選択や、上級学校への進路など何かあるとカウンセリングルームに顔を出す。何もなくても入り浸る子どもたちもいる。その人気は保健ルームといい勝負だ。

 5時からピアサポートコースの子どもたちに会うというKさんと別れて家路をたどりながらMさんは教師になりたての21世紀の初めのころを思い出していた。